言葉にするということ

写真家松田洋子

言葉にするということ

 

ここ数年、写真教室で生徒のみなさんに言語化することを伝えています。

 

「写真を見れば私の伝えたいこと、わかってくれるよね」

 

という自分目線の写真からもうすこし進んでみたい、という思いが昔からありました。

1枚の写真にひとこと、ふたこと添えるだけで表現の幅が広がります。

 

 

そう強く感じたのは、あるグループ写真展に飾られたそれぞれの写真のタイトルを見たときから。

 

会場に展示されている写真はどこにでもある、さりげない風景が多かったように思います。

 

しかしタイトルを見た後もう一度写真に目を向けると、全く違う風景が頭の中に広がってきました。

 

それらのタイトルをすべてメモして帰り、見返して分析、また分析・・・

 

俳句の本も見たり、気になる言葉があると必ずメモしました。

 

 

あるとき、主宰する写真教室のグループ展で、私の作品のタイトルを

 

「薫風」

 

と名付け展示しました。

 

その作品は紫陽花と道路が雨で濡れている鎌倉で撮った1枚です。

 

すると俳句をしている友人から指摘があり、

 

「松田さん、薫風は5月の季語だよ、紫陽花と雨だと6月だからタイトルと合っていないよね」

 

と言われ、そうか!とショックを受けました。

 

 

そんなきっかけが続き、これは写真だけではなく言葉も意識して取り組もうと思ったのです。

 

 

いろいろな写真展を見ていると、一生懸命、頑張ってかっこいいタイトルをつけている人をよく見ます。

 

すごく頑張って考えたんだなあ、とエールを送りたい一方、写真がタイトルに追いついていないようにも思えます。

 

 

タイトルの役割は、写っている写真をそっとサポートし、見えない空気や余白を補足するものではないでしょうか?

 

 

 

写真は山梨・清里高原で。

 

今年はまだ足を運んでいないのでなんとか時間を作って行きたいと思っています。